【環境ミニ講座2.11】 畑地生態系の遷移

 

 


                            202424日、第33

 人は森林からわずかな食料しか得られない。そこで、より多くの食料を得るために森林を開墾して、単一作物栽培の畑地に変えた。なお、図1に示したように畑地生態系は食料生産機能は高いが、環境保全機能は低い。人は両方の機能が必要であるが、まずは食料生産を優先し、環境保全は後回しにしてきた。例外的に、水田や、畑地と森林の混成生態系(アグロフォレストリー)の、多目的生態系は食料生産と環境保全機能の両方を有するとされている。

 

 単一作物の畑地の維持は容易ではない。放置すると、雑草、灌木、病原菌、害虫獣などが侵入し、元の森林に戻るからである。これを遷移successionという。そこで農作業の大部分は侵入による遷移を阻止する作業となった。

   

 1. 畑地生態系の遷移にともなう遷移の力と機能の変化の割合 


畑地生態系を放置すると、遷移は以下のように進み、元の森林に戻る。まず、雑草の1年生草本、つづいて、害虫獣などの侵入、数年後に灌木が生える。数十年後にマツ、クヌギ、イチョウなどの陽樹林が、そして100200年後にブナ、シイ、カエデなどの陰樹林が繁茂し、開墾前の極相climaxの森林に戻る。このとき環境保全機能も回復する。

 

遷移の過程で、なぜ陽樹林は陰樹林に変化するのであろうか。 陽樹の稚樹は生長に十分な太陽光が必要である。林床では、上部を陽樹が覆っていると、十分な光が得られない。そのために、陽樹の稚樹は生長できずにやがて消滅する。いっぽう、陰樹の稚樹は太陽光が不十分でも、ゆっくりではあるが、生長できる。そのため、陰樹林が永続的に覆う極相林になる。

 

遷移阻止のための雑草除去や動物排除は一度経験するだけで、重労働であることがわかる。農作業の大部分は遷移の阻止であるといってよい。省エネの遷移阻止法がある。たとえば、水田は水張り、水落しの水管理がくり返されれば、多くの雑草や灌木は消滅し遷移は阻止される。

「水」を用いない遷移阻止法もある。水田への「水張り」と真逆の方法、「火入れ」である。火入れにより、たとえば、阿蘇山のふもとは侵入動植物が消滅して、森林への遷移は阻止される。



【コラム2.11】  伝わりそうで伝わらない その3

1)「感謝のひとこと」、「感謝しかない」……これって感謝してるの?

2)「止めよう、温暖化」……「と」めよう? 「や」めよう?    どっち?

3)各駅、快速、急行、特急列車などはあまり抵抗ないが、「普通」でない列車って?

4)「旧電力数社が電気料金の値上げを談合していることが繰り返し報道されていることはきわめて遺憾である(河野大臣)」……「談合」が遺憾なの?  「報道されていること」が遺憾なの?

5)「NHKの受信料2170円が、202310月から、2420円値下げされる」という。うかつにもすごい値下げだと思ってしまった。ところが受信料は月当り、値下げは年当りであった。すごい値下げだと思った自分が情けない。それにしても、月当りの数字に年当りの数字を混ぜるな。統一するのが常識だろう。そんな常識もなしにニュースが正しく伝えられると思っているのか。

NHKの常勤役員の年収を聞いているのに、聞かれていない非常勤役員の年収も混ぜて報告している。混ぜると焦点がぼける。なるほど、常勤役員の年収は首相よりも高い。

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