2023/3/5 第9回
大気のCO2を削減して地球温暖化を阻止しよう。間伐をして、森林を「若く」保てば森林のCO2 吸収は高く維持でき、大気のCO2は減り続ける。間伐材などを恒久材とし、落枝落葉を炭粉にすることは、大気のCO2を削減し続けることになる。これらの作業は農山村に限られる。そのための原資として、政府は温対税(地球温暖化対策税)2600億円を家庭から毎年徴収している。ところが、政府は、石油連盟や火発業界に押されて、この2600億円に石油石炭税3700億円を上乗せし、さらに、上乗せのどさくさに紛れて、温対税の補てんはCO2 排出の「抑制」に限ってしまった。
たとえば、CO2の排出を「抑制」したエコカーには、約7万円(1t, Cの抑制あたり)の潤沢を補てんしている。しかしながら、エコカーは大気のCO2を削減しない。したがって温暖化を阻止しない。温暖化を阻止しているのは森林である。
温対税を森林に補填しない不公正こそ是正すべきなのに、政財界がやったことは新たな「森林環境税」の徴税である。この新税は納税者から、毎年約600億円を徴収するが、この新税さえも、間伐などの森林整備にはわずか3割しか補てんしない(朝日新聞2016年4月18日、森林環境税 是非置き去り)。
「汚染者が支払い、環境保全者が補てんを受ける」が「公正」の原則である。エコカー補助はこの原則から逸脱している。なぜなら、エコカーは汚染者であるからである。減らしたとはいえCO2排出の汚染者である。それにもかかわらず潤沢な「補てんを受けている」。いっぽう、林業家や森林は環境保全者である。それにもかかわらず「補てんはない」。補てん先が真逆ではないか。この不適正を放置して、持続的社会やSDGsは語れまい。やるべきことは汚染者に支払わせ、環境保全者に同じ額を補てんする「公正」の原則を守るだけである。温対税と森林環境税だけで京都議定書はクリアーできる。このことについては次回で。
【コラム4.11】 説明責任と任命責任
「説明責任をはたす」はやったことが合法で白のときは可能だが、違法で黒のときは不可能だ。「違法で黒」の大臣に「説明責任」を強いる岸田首相は「黒」をねじ曲げてでも、「白」を装えと強要していることになる。岸田首相のこの強要も、「任命責任」の取り方も如何なものか。大臣を更迭する毎に、「これは私の任命責任である」と言う。言うだけで終わり。その後は何もやっていない。これが4回目になった。4回とも一貫しているからこれだけは「朝令暮改」ではない。
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