【環境ミニ講座2.8】 森林と海洋生態系の共通の姿 



                                                                            2023/12/ 17 第30回


 地球の表層の生物圏biosphere は一様ではない。森林、草原、畑地、海洋、干潟などの

ように、他と区別できるまとまりがある。これらのまとまりを生態系ecosystemとよぶ。

それぞれの生態系は人間活動と固有の関わりをもつ。

 また、生態系は多様で巨大な量の微生物を抱えている。この微生物が物質循環を完結さ

せ、生態系をひいては生物圏を持続させている。 なお、生物圏の微生物の量は世界の総

人口80億人の量より千倍ほど大きい。すなわち、生物圏は微生物が量的主役の世界である

 森林生態系と海洋生態系は見かけも種構成も大きく異なる。しかしながら、姿、さらに

は働きが以下のように共通していることが見えてくるであろうか(図1)。




図1.生態系の生食連鎖と腐食連鎖におけるエネルギーと物質の流れと循環

(瀬戸、2006)


 すなわち、生態系の上層部にも下層部にも、喰う喰われるの食物連鎖がある。上層部の

樹木・藻類からはじまる連鎖を生食連鎖grazing food chain 、下層部の糸状菌・細菌か

らはじまるそれを腐食連鎖detritus food chain という。

 太陽光を受ける上層部の樹木や藻類は有機物を生産して、生食連鎖を構成する。さらに

、下層に有機物をデトライタスとして供給する。下層部の糸状菌や細菌はデトライタスを

無機化して、微生物量を増大させ腐食連鎖を構成する。さらに、上層に窒素やリンなどの

無機物を供給する。かくて、エネルギーは流れ無機物は循環する。

 食物連鎖と言えば多くの人は生食連鎖を思い浮かべるが、腐食連鎖のほうがはるかに多

くの物質とエネルギーが流れているのである。そこで腐食連鎖の右向きの矢印は、生食連

鎖より太く描いている。また、腐食連鎖の肉食動物は最終的には生食連鎖に組みこまれて

ゆく。地中のモグラを猛禽類がわし掴みして捕食するなどの連鎖はその例である。

 なお、カキの1個体は1日当り約200ℓの海水をろ過して、海水に含まれるデトライタス

、糸状菌・細菌を餌としている。したがって、カキは腐食連鎖から餌を得ていることにな

る。また、カキの収穫量は、1ha、年当り20~400t(生量、殻なし)と、巨大である。こ

れに対

して、生食連鎖のたとえばコメの収穫量は、1ha、年当り4~5t(玄米)である。




【コラム2.8】 笑えなさそうで笑える

1)「事故も起こしてないのに保険料があまり変わらなくて……」、「車両保険を入れ

ないと掛け金はこんなに安くなります」、「でも事故のときは大丈夫?」、「ご安心く

ださい」。……自動車保険をめぐるこのTVコマーシャル、何年もやっているけど、不適

切・誤りをいさめる人はいないの?

2)「膿(ウミ)を出しきろう」(安倍元首相)……他人事のように言うけれど、溜めて

いるのは誰ですか?

3)「言うまでもなく」と言いながら、なぜ言うの?

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