【環境ミニ講座2.2.】 何が飢餓を激化させているか-1. 

                                                                                


                                                                                    2023/09/05  第24回

 世界のいっぽうで飽食、たほうで飢餓が常態化し拡大している。飢餓は食料生産の不足

が原因ではない。世界の穀物収穫量25億t(2015年)をこのときの人口73億人で均等に分

けると、一人一日当り1㎏になる。1㎏は約4000Kcalであり、一人一日当りの必要カロリー

量(2,400 Kcal)の1.7倍である。穀物だけで世界人口の1.7倍の人が生きてゆける計算にな

る。さらに、野菜、肉類も約30億t収穫されている。飢餓の背景に何があるのか。


肉食化は飢餓を促進する

 人が食べない食物を家畜が食べ、人と家畜は食物を分けあってきた。近年、とりわけ豊

かな国は家畜の生産効率を上げるために、人が食べられる食物を家畜に与えるようになっ

た。このとき、穀物の重量の数分の1しか肉にならない。穀物も肉類も単位重量当たりの

カロリーはほぼ同じであるから、肉食で養える人の数は数分の1に減る。また、トウモロ

コシを発酵させ、得られるエタノールを燃料に使うことも始まった。これらも、貧しい人

への食料の配分がさらに少なくなることにつながる。


TPP(環太平洋経済連携協定、trans pacific partnership )も飢餓を促進する

 輸出入の自由化には政財界や国民の期待が大きい。すなわち、日本は自動車、エレクト

ロニクスなどのさらなる輸出で外貨が稼げると期待し、一部の国民は安価な食料などが購

入できると期待している。しかしながら、TPPは生産と消費の場を遠ざけるから、物質循

環の完結を困難にする。また、単一作物を大量の肥料で集約栽培するから、とりわけ雨量

の少ない地域では、投入された肥料中の塩類は表層に蓄積し、やがて、塩類化、ひいては

砂漠化して、農地を失うことになった。もたらされる結果は貧困層の飢餓の激化である。

 さらに、TPPは日本ではたとえば林業を衰退させた。外国の安価な幹材のために国産材

が売れなくなったからである。いっぽう、安い幹材を生産する国の森林は過伐採により崩

壊しつつある。お話はこれで終わらない。森林は人に穏やかな環境や国土保全などの公益

的価値も生んでいる。水田も同様である。TPPを評価するとき多くの人はこの公益的価値

への配慮が無いのである。もたらされる結果は、利益より損失がはるかに大きい。この損

失の直撃を受けるのも貧困層である。




【コラム2.2】

1) やめてほしい

大喰い競争のテレビ番組が続いている。大喰いする人、放送する人、それを見る人。下

品すぎないか?


2) 民主主義の冒とく? 

 山上徹也は、母が旧統一教会に精神的に拘束され高額の献金を支払わされ、ついには家

族が崩壊した、と考えた。山上は、旧統一教会に絡んでいた安倍元首相を暗殺した。  

 岸田首相や政府は当初は「民主主義の重大な冒とく」とくり返していたが、この事件は

民主主義の問題ではない。問題は、法外な搾取をしているカルト団体の便益に群がり、信

者の不利益・生活破壊は無視し、闇献金と癒着してきた政治の利権集団である。山上はこ

の癒着政治の犠牲者である。「国葬」を閣議決定ごときでゴリ押しする岸田首相のやり方

こそが「民主主義の重大な冒とく」である。


3)反対する国民はバカだ  

 自民・二階俊博が「安倍元首相の国葬に反対する国民はバカだ」とマスコミに語った

(2022年8月24日)。このおバカはマスコミから糾弾されると思ったが私が甘かった。私

の知る限り、新聞、TVなどは沈黙したままであった。なお、8月27日に行われた新宿にお

ける「国葬」反対集会には、外国の報道陣を除いて、日本の報道陣の参加はなかったと聞

く。

 利権集団の「大本営」はマスコミも巻き込んで不都合な真実を隠ぺいする。このような

報道タブーは広く浸透している。二階も岸田も他人には民主主義を厳しく強要するが、彼

らは国家権力を私物化・大喰いする。その下品さも民主主義の冒とくである。

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