【環境ミニ講座4.12】 「京都議定書」は持続的にクリアーできる

 


      2023/3/15  10

地球温暖化を阻止するための京都議定書で、日本はCO2排出を毎年2000tC量)強を削減する約束をした。既存の税の適正な運用だけで約束はクリアーできる。すなわち、温対税2600億円は石油石炭税から分離し、森林環境税600億円とともに、合計3200億円を本来の目的である温暖化阻止に使おう。大気のCO2 を削減してきたのは若い森林であるから、3200億円は森林を若返らせる間伐に最優先で補てんしよう。  

なお、エコカーへの補てんの原資はとおぜん石油石炭税であって、温対税ではない。

 

間伐などの管理費として林業家に100万円(1人、年あたり)を払うなら、3200億円は32万人が対象になる。110人の農林家が関与するなら、3.2万㎞が間伐できる。

さて、日本の森林面積は25.6万㎞であるから、森林の半分の面積を間伐するのに、4年かかることになる。間伐した森では幹材による大気CO2の削減量 (C量、年あたり) 過去の実績から1400tと推測できる。残りの森林の半分は現状のままなら削減量は650万tとなる。これらの計2050t京都議定書の目標値2000tと同じである。

なお、なぜ「半分は現状のまま」か。半分の山林はクマ、サル、シカなどに人の介入の少ない住みかを提供しようではないか。

 

さらに、落枝落葉や有機物残さなどを炭粉にすれば、10002000tCO2が削減できる。幹材による大気からの削減量約2050万tと合わせると、30004000tが大気から削減できる。既存の税を適切に使えば京都議定書2000t強は余裕でクリアーでき、農山村の活性化もできるのである。

 

間伐などの森林管理を持続的に行うために、林道や砂防工事などの森林のインフラ整備も怠るまい。林道など100年先を見据えた基盤整備は次世代につながる持続的社会の必要条件である。なお、農山村は、CO2削減のみならず、水や土壌の保全などの公益的価値も生んでいる。その恩恵を受けているのは主に都会である。ここに都会は適切な原資を提供して農山村を活性化する義務がある。

また、温暖化にあまり責任の無い南半球の国々に、先進国が森林回復を援助することは北の工業国も大いに利する。したがって、森林回復は全地球人の義務である。

 

 

 

 

【コラム4.12】オリンピックの変質―国費投入の意義は?

オリンピックはアマチュアのスポーツ祭典であった。今はプロの商業主義の祭典であり、利権や税金の漁り場になってしまった。浪費された税はけっきょくは都民や国民が穴埋めする。たとえば、選手村に晴海の都有地が、1000億円も値引きされて、130億円で不動産会社に渡された。この会社には都の幹部12名が天下っている(赤旗2017, 8, 18日)。不正が問われず免罪されるなら、オリンピックの暗部は自己増幅する。最近のオリンピックは「電通」などを隠れ蓑や「大本営」にして、談合、不正蓄財を恒例化・拡大してきた。2020年の東京五輪コストの公表は1.6兆円であるが実際の総額はゆうに3兆円を超える(朝日新聞2021912日)。

いっぽう、金食い虫の祭典に辟易して、世界ではオリンピック大会の返上・断念がデンバー、ストックホルム、グラコフ、オスロなどで表明されている。

 

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